取得単価(取得価額)とは?複数の取引所をまたいだ管理方法
取得価額は投資に支払った金額で、手数料も含みます。計算のしかた、送金で取得価額がわからなくなる理由、複数の口座で正しく管理する方法を解説します。
著者:Sonar team9分で読めます
取得価額とは、ある投資を手に入れるために支払った金額の合計で、売買手数料なども含みます。数量で割ったものが、証券会社のアプリなどに表示される取得単価(平均取得単価)です。損益を計算する出発点になり、評価額から取得価額を引いたものが含み損益、売却額から売った分の取得価額を引いたものが実現損益です。複数の取引所をまたいで管理するとは、すべての購入を記録し、口座間で資産を動かすたびに元の取得価額も一緒に引き継ぐことを意味します。
このガイドでは、考え方、よく使われる計算方法、取得価額がわからなくなりやすい場面を説明します。仕組みの説明であって税務上の助言ではなく、ルールは国によって異なります。
取得価額に含まれるもの
英語では「cost basis」と呼ばれます。米国金融取引業規制機構(FINRA)の投資家向けガイド「Cost Basis Basics」は、これを購入価格(再投資した分配金を含む)に、取引のために支払った手数料などを加えたものと説明しています。
実務上は、次のものが含まれます。
- 支払った価格(株式や仮想通貨の代金)
- 購入時の売買手数料
- 再投資した配当・分配金(新しい口数を、それぞれの価格で買ったことになります)
株式分割などがあると、あとから調整されます(取得価額の総額は同じまま、株数が増えます)。
取得価額の総額と取得単価
- 取得価額(総額): ひとつのポジションに支払った金額のすべて。例:10株を30万円で買い、手数料が500円なら300,500円。
- 取得単価: 総額を数量で割ったもの。この例では1株あたり30,050円。
どちらも同じものを表しています。証券会社は取得単価を表示することが多く、損益の計算には売却ごとの総額が必要です。
なぜ取得価額が大事なのか
- 本当の損益がわかる。 評価額50万円のポジションも、30万円で買ったなら含み益、70万円で買ったなら含み損です。
- 多くの国で、売却時の税金の計算に必要です。 日本では、特定口座の上場株式などは証券会社が取得価額を管理して損益を計算しますが、仮想通貨は自分で計算するのが基本です。国税庁は暗号資産に関する税務上の取扱いのページで、総平均法や移動平均法による取得価額の計算方法を案内しています。ご自身の状況については、税務署や税理士に確認してください。
- パフォーマンスを正直に見られる。 取得価額がなければ、ツールは評価額は出せても利益は出せません。
何回かに分けて買ったときの計算方法
ひとつの資産を一度にまとめて買う人はあまりいません。一部を売ったとき、どの購入分を売ったことにするかで結果が変わります。代表的な方法は次のとおりです。
| 方法 | 先に売ったとみなす分 | 補足 |
|---|---|---|
| 先入先出法(FIFO) | いちばん古い購入分 | 米国などで一般的な方法 |
| 個別法 | 自分で選んだ購入分 | 購入分ごとを識別できる記録が必要 |
| 移動平均法 | 購入のたびに計算し直した平均単価 | 日本の仮想通貨の計算で選べる方法のひとつ |
| 総平均法 | その年の購入分をまとめた平均単価 | 日本の仮想通貨の計算で使われる方法のひとつ |
どの方法が認められるかは、資産の種類と国によって違います。税務上の計算に使う前に、税務当局の案内や専門家で確認してください。
計算例
説明のための架空の例です。ETHを2回に分けて買い、その後一部を売りました。
| 時期 | 取引 | 数量 | 価格 | 手数料 | 取得価額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3月 | 購入 | 2 ETH | 300,000円 | 1,500円 | 601,500円 |
| 8月 | 購入 | 1 ETH | 450,000円 | 1,200円 | 451,200円 |
| 12月 | 売却 | 1.5 ETH | 540,000円 | 1,350円 | — |
売却額:1.5 × 540,000円 − 1,350円 = 808,650円
- 先入先出法: 1.5 ETHは3月の分から売ったとみなします。取得価額 = 1.5 ÷ 2 × 601,500円 = 451,125円。実現益 = 808,650円 − 451,125円 = 357,525円。
- 平均法: 1,052,700円 ÷ 3 ETH = 1 ETHあたり350,900円。1.5 ETHの取得価額 = 526,350円。実現益 = 808,650円 − 526,350円 = 282,300円。この例では売却前の購入しかないので、移動平均法でも総平均法でも同じ結果です。
- 個別法(8月の分を先に、残り0.5 ETHを3月の分から):取得価額 = 451,200円 + 150,375円 = 601,575円。実現益 = 207,075円。
同じ取引でも、結果は3通りになります。だからこそ記録が大事で、方法は一貫させる必要があります。
取引所をまたぐと取得価額がわからなくなる理由
仮想通貨の投資家がぶつかるのは、取引所は自社のプラットフォームで起きたことしか知らないという問題です。
- 入庫は取得価額なしで届きます。 ある取引所で買ったBTCを別の取引所に送ると、受け取った側には購入ではなく入庫として記録されます。取得価額は不明やゼロと表示されることがあります。
- ウォレットは価格を記録しません。 自己管理ウォレットが見せるのはブロックチェーン上の取引で、いくらで買ったかではありません。
- 仮想通貨同士の交換は、通常、あるポジションを終えてその時点の時価で新しいポジションを始めることになります。
- ステーキング報酬やエアドロップは、取得価額の扱いが国のルールによって変わる数量を増やします。
- 閉じた口座は、書き出していなければ履歴ごと消えてしまいます。
解決策は、口座ではなく資産について回る、自分自身の記録を持つことです。
複数の口座で取得価額を管理する方法
- すべての取引所と証券会社から全履歴を書き出します。 もう使っていない口座も含めます。取引履歴をCSVで書き出す方法を参照してください。
- すべての口座を一か所にまとめます。 ある口座からの出庫と別の口座への入庫が、移動として認識されるようにします。仮想通貨と株をまとめて管理する方法を参照してください。
- 自分の口座間の移動を対応づけます。 元の取得価額が、リセットされずに仮想通貨と一緒に引き継がれるようにします。
- 報酬やエアドロップで受け取った分の価値を記録します。 国のルールに従います。
- 年に一度は照合します。 資産ごとの数量が口座と一致しているか、取得価額の抜けている分がないかを確認します。
Sonarでの取得価額の扱い
Sonarは、ポジションごとに取得価額を保持します。CSVインポート(取得価額の合計や平均取得単価の列を読み取ります)、Plaidで連携した証券口座で証券会社が提供している場合、または手入力したポジションから取り込みます。含み損益は、評価額からこの取得価額を引いたものです。


売却については、Sonarは口座ごと・資産ごとの平均取得単価で実現損益を計算します。取得価額のわからない分が入ってきた場合(入庫、報酬、価格のない購入など)、Sonarは推測せずに取得価額を「不明」と表示します。抜けが見えるので、あとから埋められます。
Sonarはポートフォリオ管理ツールであって税務ソフトではなく、平均法による数字が、税務上求められる計算方法と一致するとは限りません。取引はいつでもCSVで書き出せるので、スプレッドシートや税理士、損益計算ツールに渡せます。Sonarが読み取れる形式はCSVインポートをご覧ください。デモのポートフォリオでも試せます。
よくある間違い
- 手数料を入れ忘れる。 購入時の手数料は取得価額を増やし、売却時の手数料は売却額を減らします。
- 移動を購入として扱う。 取得価額が、移動した日の価格に置き換わってしまいます。
- 古い取引所の履歴を失う。 口座を閉じる前に書き出しましょう。
- 方法を混ぜる。 計算方法を途中で変えると結果が変わり、税務上のルールと食い違うことがあります。
- 株式分割や再投資を忘れる。 どちらも取得単価を変えます。
よくある質問
取得単価は買ったときの価格と同じですか?
ほぼ同じです。価格に手数料を加え、再投資や株式分割などで調整したものです。
仮想通貨を別の取引所に送ると、取得価額はどうなりますか?
本来は何も変わりません。自分の口座同士の移動は売却ではないからです。問題は、受け取った取引所が元の取得価額を知らないことです。自分で記録を残すか、両方の口座が見えるツールを使いましょう。
「取得価額不明」とはどういう意味ですか?
プラットフォームが、どの購入にも結びつけられない数量を持っているということです。多くの場合、入庫、報酬、記録を始める前の履歴が原因です。元の取得価額を入力するまで、その分の損益は計算できません。
平均法と先入先出法で結果は同じになりますか?
ほとんどの場合、同じにはなりません。価格が上がってきた場合、先入先出法のほうが1回の売却での利益が大きく出ることが多く、上の例もそうです。ポジションを全部売り切るまでの通算の利益は同じで、違うのはそれがどの時点に計上されるかです。
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